昭和45(1970)年に全国で初めて「海中公園地区」(現 海域公園地区)に指定され、昭和47(1972)年には足摺宇和海国立公園指定を受けた竜串の海。 この豊かで魅力あふれる竜串の海にも危機が訪れました。開発や産業の影響による水質悪化、サンゴ食害生物の大発生等によって、1990年代に入った頃からサンゴの衰退が目立ちはじめ、それに追い打ちをかけるように、平成13(2001)年の高知県西南豪雨により河川から大量の土砂が流入し、多くのサンゴが死滅しました。 このような危機的状況を脱しようと、地域住民や専門家、行政など、さまざまな人たちが協働し、自然再生の取り組みを行っています。

自然再生とは

  • 過去に失われた自然を積極的に取り戻すことを通じて、生態系(生き物のつながり)を回復する取り組みです。
  • 自然再生の重要なポイントは、科学的なデータをもとに、さまざまな人たちが参加して取り組んでいくことです。

※自然再生について 自然再生ネットワークホームページ

壊れてしまった竜串の自然

●サンゴの衰退

海域公園地区指定当時(昭和45(1970)年頃)と比べ、湾内のサンゴの面積が大きく減少してしまいました。
海域公園地区3号地(大碆:おおばえ)周辺のサンゴの衰退

  • 幾重にも重なり大きな群集を作っていたテーブルサンゴが消えてしまった
  • サンゴを食べるオニヒトデ(左)や巻き貝(右/ピンク色のもの)が原因で死滅するサンゴも急増

●流域から海に流れ込むにごり

竜串湾に流れ込む河川の流域の約7割が人工林であり、その多くが手入れ不足であったため、大雨が降ると山くずれや土壌の流出が発生していました。 川を伝って竜串湾に流れ込んだ大量の泥土(でいど)は、波などによって巻き上がり、強いにごりを発生させ、サンゴに悪影響を与えていました。

  • 大規模な崩壊地
  • 雨の後、強いにごりが流れ出ている川
  • 海底には、手が埋まってしまうほどの大量の泥土が堆積

みんなで一生懸命がんばった!! ~竜串自然再生の取り組み~

竜串のサンゴを復活させるためには、海だけでなく、森・川・里・海のつながりの再生が必要でした。 そこで、地域内外の多様な主体が集まり「竜串自然再生協議会」を立ち上げ、取り組みを始めました。この取り組みは現在も継続されています。

竜串自然再生協議会について

●森・川・里での取り組み

  • 林業者とボランティアが協働で行う森林整備(間伐など)
  • 崩壊地の復旧工事
  • 川にたまった土砂を取り除く工事
  • 水質や流量などの定期的な測定

●海での取り組み

  • サンゴの成育状況のチェック
  • 漁業者とダイバーによるオニヒトデの駆除
  • 泥土除去工事(海底にたまった泥をポンプで掃除機のように吸い取る作業)
  • 海中のゴミ収集や浜の清掃活動

●地域社会での取り組み

  • 地元の小学生への環境教育
  • 住民学習会
  • シンポジウムの開催
  • 広報活動(ニュースレターやパンフレットの作成など)

サンゴ復活! 竜串の自然、これからも守り続けよう

竜串の自然が大きく壊れてしまってから約10年。
さまざまな取り組みが行われた結果、竜串のサンゴは今、驚くほどに回復しつつあります。

調査結果
海底に堆積していた大量の泥土は、平成18(2006)年度から22(2010)年度に環境省が実施した泥土除去工事のほか、波浪や潮流の影響などによって徐々に少なくなり、大碆(おおばえ)に堆積している泥土量は約1/10まで減少しています。

(←)青く塗ったところが泥土がたまっている部分。面積的にもかなり減少していることがわかる

高知県西南豪雨災害時に多くのサンゴが死滅した海域公園地区3号地(大碆)には見事なサンゴ群集が復活(H23.2月撮影)

自然の回復力、それをサポートした人の力。その二つがあいまって、竜串の海は美しい姿を取り戻しつつあります。
この再生した自然を未来へつないでいくことが、これからの私たちの使命。竜串自然再生の取り組みは続きます。